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NEMOHAMO×トゥイカウリディレクター上野樹里さんとのスペシャルインタビュー

2024.3.15

NEMOHAMO店舗スタッフの制服が新しいデザインになったことを皆さんご存知でしょうか?
今回制服のデザインを手掛けてくださったのは、TuiKauri(トゥイカウリ)のディレクター・デザイナーである上野樹里さん。

コンセプトとして「Try to Kind ~本当の心地よさを求めて~」を掲げており、 日本の産地の技術と共に、天然素材や資源の循環を意識した、人にも地球にもやさしいものづくりをするファッションブランドです。

製造の全過程において自然環境へ配慮し、サステナブルなものづくりを続けるNEMOHAMOとも親和性が高く、今回ご縁があって上野さんに制服デザインをしていただきました。

また、なんと、上野さんは既にNEMOHAMOの存在を知っていて、アイテムを愛用いただいていたのだとか…!今回のNEMOHAMOとの出会いについても、自然だったと語る上野さん。

そんなNEMOHAMOと上野樹里さんとの素敵な出会いを記念して、スペシャルインタビューが実現。NEMOHAMOスタッフが詳しくお聞きしてきました!

さらに今回NEMOHAMOと上野さんを繋げてくださったファッションディレクターの中島英恵さん、トゥイカウリファシリテーターの安藤大春さんにもお話に同席いただきました。貴重な機会に緊張の面持ちで臨んだスタッフでしたが、上野樹里さんをはじめ、中島英恵さん、安藤大春さんが楽しい雰囲気を作ってくださり充実したインタビューとなりました。
トークイベントでの集合写真
▲画像はNEMOHAMO京都本店のあるGOOD NATURE STATIONにて開催されたトークイベントの様子

今回、トゥイカウリのものづくりに対する考えについて紐解きながら、制服のデザインを携わっていただく上での想いやこだわりポイントについて深堀していきます。 


――まずはじめに、トゥイカウリを通して、服づくりをされようと思ったきっかけや、資源の循環・サステナブルにこだわられている理由は何ですか?

上野樹里さん:もともと、癒しが感じられるような自然やアロマがすごく好きでした。
一方でわたし自身、テレビ局で撮影をしている時などは朝も夜もわからない状態で、自然にも触れられないくらい缶詰めの状態で働いていました。電磁波が身体にたまっていって、だるいなと感じてしまう事も多々ありまして…。

その身体にたまったものをリリースするためには土に触れたりとか、アーシング(靴やソックスを脱いで、裸足や素肌で地球の大地と直接つながること)をすると元気になれたりするのですが、そんな休みもないときにアンダーウェアの存在って大事なんじゃないかと思いました。

自分自身を守ってくれるような、肌に触れるものもちゃんと「良いもの」であれば、撮影の衣装にも響かずずっと身に着けられるなと。

そこで安藤大春さんと出会ってから、アンダーウェアだけじゃなく、服も作ってみないかとお誘いをいただきまして。
「好きなことや、心地いいなと思っていること」を皆さんとシェアできれば、自分の想いもいろいろ伝えられることもあるんじゃないかと思いました。

中島英恵さんと上野樹里さん

もともと服作りの知識はなかったんですが、安藤さんと色々なところへ見学を行かせていただいてから、自分で体感して、知識を得ていく過程で「やっぱり服を作ってみたい」と思ったんです。

そしてもう一つ大きなきっかけは、当時ドキュメンタリー番組で見ていたバングラデシュのラナ・プラザ崩壊事故※のお話です。そこの縫製工場で働く女性たちは子供たちの学費や養育費を稼ぐために朝から晩までミシンを打っていたのですが、彼女たちにとってはとても過酷な労働条件と環境で…涙を流しながら語っている姿が目に焼き付いていて。 サステナブルやSDGsという言葉が自分の中でひっかかることがいっぱいあったんですね。

(※ファッション史上最悪の事故ともいわれており、ラナ・プラザには27ものファッションブランドの縫製工場が入っており、そこで働いていた若い女性が犠牲になった。事故の原因はずさんな安全管理だったとされる。)

だから、私にも何かできることがあるかもしれないと考えていて。
コロナ禍もあり、みんなが「健康」についてすごく考え始めている時期で、「どうすれば心豊かに幸せに満たされた気持ちで生活できるのか」と考えるようになったと感じています。そこに寄り添える何かが私にもできるんじゃないかと。

だから、トゥイカウリは「人にやさしく寄り添えるブランド」であり、裏側をお伝えしても恥ずかしくないような、ものづくりをしたいと思っています。

一方で、ファッションやモノがあふれかえる世の中で、本当の美しさってなんだろうって考えたこともありました。

美しくいるためにどこかで無理をしないといけない場面もあったりして…。それは矛盾していると思ったんですよ。
だから、美しさと健康が融合できれば、オンオフも乖離ない自分らしく健やかに過ごせると考えてまして…。その結果、本当の美しさも実現できるような形でトゥイカウリを発展させていこうと思い立ちました。

上野樹里さんのインタビューの様子

――さきほどバングラデシュのお話にもあったかと思いますが、制服の生地の産地や種類、着心地のよさについてなど、作る際にこだわられたポイントについても教えてください。

上野樹里さん:生地のお話になりますが、ニュージーランドにメリノ種という羊がいるんですよ。
そこでできたメリノ・ウールは、肌着にできるくらい柔らかい生地なんです。

実は羊の毛は一定の時期に刈らないと、いろんな病気に感染したり、毛に埋もれちゃって、なくなってしまう事もあるんです。別の国では、毛を刈るうえで羊にとって苦痛を感じさせてしまうような管理もされてたりします…。そういった国のウール素材は、トゥイカウリでは使いません。

中島英恵さん:そうなんですよね、素敵です!ニュージーランドウールは高品質なのは勿論、羊の飼育環境から毛を刈る際も優しく行うので、そういう意味でもアニマルフレンドリーなんです。動物にも環境にもみんなに優しいんですね。

上野樹里さん:そうなんです。そこでニュージーランド産のウールで何か作りたいなとずっと思っていて。わたしの地元でもある加古川にあるニッケさん(日本毛織株式会社)に依頼して、メリノ・ウールを使用してNEMOHAMOのユニフォームをつくっていただきました。
ニッケさんは制服ユニフォームがすごく強くて。制服は日々着用するものなので、耐久性もすごく大切なので強度を高めるために化学繊維を混ぜながら、自然素材の良い部分も取り入れて生地を作っていただいています。
刺繍で施されているロゴについては、NEMOHAMOの原材料で使われているオタネニンジンから取り入れてオレンジ色にしました。

ベースの生地については、オタネニンジンを育てている土の色から着想を得ました。
新丸ビル店の内装がとてもスタイリッシュだったので、温かみのあるブラウンといっても、その店舗の空間に合うようなブラウンは何かというのを皆さんと共有しながら決めていきましたね。

中島英恵さん:ボタンの色については、最初はアンティーク調のくすみがかったゴールドで、自然のカラーとも調和するような色にしていたんですが、ネームバッジがアンティークシルバーだったので、統一感を持たせ、途中でシルバーに変えました。
あとはウエストや袖口の内側だけにゴムを入れたり、トップスの両サイドのスリットなど、作業面への配慮と共に、女性のライフスタイルの変化があっても動きやすく、さりげない上品さが感じられるデザインを意識しました。
トゥイカウリのユニフォーム

上野樹里さん:トゥイカウリのホームウェアのトップスデザインから生かして、ユニホームのウエストの後ろは少し長くしているので、スカートへインしてもゴムを隠すことができるんですよ。スタッフの方が、見えないところで楽していただけるように色々工夫してみました!

中島英恵さん:そうですね。もうひとつニュージーランドウールはシワにもなりにくく、スタッフの方がケアしやすいのが特徴です。
そして、快適に作業しやすく動きやすいように、スカート丈もスタッフの方々ともバランスを話合い、ゴムの仕様でも調整可能に。
また、足元もブーツや、スニーカーと合わせてもスタイルがかわいく見えるデザインになっています。

あと、重ね着をしてみても合うようになっているんですよ。ショップの方たちが休憩へ行くためにお昼休みの際に外へ出かけたりしても、制服っぽく見えないようになっています。
制服のトップスだけ脱いでいただいて、中に着用していたハイネックとスカートという組み合わせになっても問題ないデザインです。

中島英恵さんと上野樹里さん

――最後に、NEMOHAMOの制服のデザインをされている時にどのような心情でつくってくださったのか教えてください。

中島英恵さん:今後もNEMOHAMOさんが店舗を展開されていく際に、トゥイカウリが作って下さった素敵なユニフォームも知って頂きながら、ファッション軸の方々にも認知度を広げて行きたいと思っています。
NEMOHAMOさんもトゥイカウリさんもどちらも素晴らしいブランド同士なので、そんな高い意識での方々が、更にいろんな形で楽しく繋がりを持てたらなという気持ちで携わらせていただきました。


上野樹里さん:今回、GOOD NATURE STATION でトゥイカウリのトークイベントをやらせていただきましたが、NEMOHAMOさんのユニフォームをつくらせていただいた事で第三者である皆さんの前でもお話をするところまで発展して嬉しかったです。
こうしてどんどん皆さんとの和を繋げていきながら、よりよいモノづくりを一歩一歩着実に前に進めていけたらなと感じています。


TuiKauri(トゥイカウリ)とは――
ニュージーランドの先住民族の言葉マオリ語で、 鳥「Tui(トゥイ)」と、 雷に打たれても朽ちない巨大樹「Kauri(カウリ)」 を組み合わせた造語。
上野さんがかつて留学していた ニュージーランドからインスピレーションを受けており、 自身の名前にも「樹」を含むことから名づけられた。
CONCEPT 「Try to Kind ~本当の心地よさを求めて~」 日本の産地の技術と共に、天然素材や資源の循環を意識した、人にも地球にもやさしいものづくり。自然やつくり手をリスペクトしてものづくりをする。
すでにあるものをアップサイクルして循環させていく 自然との調和、地球の循環を肌で感じて癒されながら健やかな気持ちでファッションを楽しんでほしい 基盤となる素材は良いものを、デザインは少し遊び心がありつつ着る人を選ばず寄り添うものを 母なる地球の恵みを感じてもらいつつ、ファッションとして心から楽しめる心地のいいものをつくりつづける。